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空羽ファティマからメッセージ
朝日新聞連載コラム「生まれてきてくれてありがとう」
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    「荒野に消えゆく叫び声に」

     人生という舞台の中で試練はある日突然やってくる。死者と行方不明者は約2万人
    (もう望みはほとんどないのに、どこかで生きていてと思う気持ちが死者と呼ぶことをためらわせるのだろう。気持ちの整理がつかず帰りを待ってしまうことが痛々しい……)。
     そしてその2万人には家族や友人や恋人がいて、体が亡くなった人は2万人だけれど心を亡くした人はその何倍にもなるだろう。
     あの地獄のような日から1年たって、どん底の悲しみを越えようとする人々もいれば、一度も涙さえ流せない少女もいる。亡くなった娘が最後に立っていた場所でコートの上着を強く握り締める父の姿……。これが今の日本の現実。
     これを映画の中の話やドラマでない事実だと実感した人だけが、本気で被災地のために何かをしたいと思えるのだろう。
     越えられないほど大きな深い絶望の中で、彼らは「もう耐えられない! つらすぎる!」と何度も、絶望の叫びを上げたことだろう。そしてその声は何もなくなった東北の荒野に消えてゆく。その叫びを耳を澄まして聞く者は生き残った私たちしかないのだ。
     何をしていいかわからないし、どうやって力になれるか私自身も手探りの中、出来ることをやろうと本を送ったりチャリティー朗読会を企画してお金を送ったりしている。
     一人に出来ることは小さい。でもみんなで力を合わせよう。いつ私たちも被災者という名になるかわからないのだから。
     大切なことは、忘れないことだ。せめて新聞に目を通してほしい。
     「亡くなった娘にしてあげられたのは、いつもの歯磨きのように口から泥をかき出してあげることだけだった」と泣くママの姿が……。そして、自転車に乗ったまま泥に埋まった男の子の遺体のことが載っていた。過去の津波の被害を伝え続けていれば学校や病院を海のすぐそばに建てなかっただろうに、と記者は書いている。
     伝えるべきことはたくさんある。二度と同じ苦しみは繰り返したくない。
    、、、 もしかしたら、この今住んでいる地で桜を見られないかもしれない。。娘を守るために、家を捨てて原発から離れた地へ、引っ越さなくてはならないかもしれない。。去年原発が水素爆発した時のあの恐怖は一生忘れられない。忘れてはいけない。今こそ、日本が先頭に立って本当の平和とは何か、声を上げたい。
    (文・空羽(く・う)ファティマ 切り絵・海扉(かい・と)アラジン)
    2012年3月30日掲載
    | 朝日新聞「うまれてきてくれてありがとう」 | 13:24 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
    朝日新聞連載コラム<生まれてきてくれてありがとう>
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       こんにちは。空羽ファティマです。このメール配信でお送りする原稿は、新聞にのるときは、字数制限があるので、カットされますが、字数制限なしの、特別書き加え版をお届けします♪ちなみに、はじめの、毎日寒いですね〜の、みのもんた風の挨拶も新聞にはカットされて載りました(^^;でも、タイトルは私がつけたままのものが載ったからよかった!
      2012、2、24の朝日新聞コラムです。。



      「お風呂大賞金メダル」

      毎日寒いですね。なので、今回はお風呂について書きます。
       20代から30カ国を旅し、いろんなお風呂に入ってきました。お風呂と言っても、ゆっくりつかれる湯船がある国はそうはなく、ほとんどの国の宿はシャワーのみです。
       トルコはハマムという公衆浴場で、湯気ムンムンの大きな丸い天井の下で、ほとんど裸んぼ状態の超元気な、おばちゃんたちがアカスリをしてくれます。ギャアギャア叫ぶくらいに、体を引きずり回され、かなり手荒く扱われますが、「ほーら、見てー!」 とこすり出したアカを満面の笑みで見せてくれます。
       きれいな色彩にあふれる、バリは安い宿でも小さな庭のようなスペースが湯船の横にあり、石像や色とりどりの花が飾られ、極楽というか私はかなり気に入りました。ヤモリ君が時々いるのが玉にきずですが。(^^;
       最もひどかったのはインドの安宿です。狭くて汚いシャワー室に裸足では入れず、必ずビーチサンダルを持参します。お湯も出が良くないのですが、たいていは暑いのでそこはあまり気になりません。でも、インドの旅は事件続きなので、たまにゆっくり湯船に入りたくなると、人も入れる大きなゴミ箱を買い、長い時間をかけてお湯を入れてつかったりもしました。癒されたああ〜。すっごい幸せでした!
      洞窟のギリシャのホテルではお湯が出なくて、いつもヒーヒー震えながら入りました。
       日本のシャワーのように温度調整がしっかりでき、湯船の保温機能もあるハイテクなお風呂は、どこの国にもなかったのです。
       サハラ砂漠なんて、もちろんお風呂もシャワーも水道もなくて、井戸からやっとくんだ水を、火をおこして温め少しずつ大切に体をふきます。
       髪の毛を洗うときは、1回1回泡をしぼり落としてから最小限の水量で流すように努力します。
       余談ですが、砂漠では洗濯物は砂の中に埋めて砂に水分を吸わせて乾かします。砂の重さでアイロンもきき、ポケットの中の砂さえ出せばいいのです。
       日本にいると、あったかなお風呂に入れるのは当たり前で、それをぜいたくだとか幸せだとか自覚しないかもしれませんが、ヘビーなお風呂体験をしてきた私には、日本はまさにお風呂天国に思えます。
       飲料用と同じきれいな水でお風呂に入れるリッチな国民は、世界中にそうはいません。原発など、いろんな問題が山積みの日本ですが、世界お風呂大賞金メダルをもらえるくらいの、素晴らしいお風呂にゆっくり入って、このぜいたくを味わい、ハーッと深いため息をつけば、今日もゴクラク! ブラボーJAPAN。お風呂バンザイ!\(^_^)/
      (文・空羽(く・う)ファティマ 切り絵・海扉(かい・と)アラジン)

      | 朝日新聞「うまれてきてくれてありがとう」 | 12:25 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
      朝日新聞連載コラム<生まれてきてくれてありがとう>35
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        2012年2月3日掲載文


        「小さな店の大きな愛」

         私の店の半分を使い友人メグがクレープ屋をしている。小さな子が「お金が足りないの」と言うと、メグは半分サイズのクレープを作ってあげた。女の子には少しお釣りが返ってきた。
         その子は背伸びしたかと思うと、カウンター上に常備してある東北への募金箱にお釣りを入れた。そのお金でチョコのトッピングも出来たのに、わずかなお小遣いを被災地の人へ……。
         メグは親にひどい虐待を受けてきた。何度も夜中に山に捨てられ、木に縛り付けられて置き去りにされた。その彼女が自らのトラウマを越えて子供たちに優しくして、親切にされた子供たちが東北の人に手を差し伸べている。小さな店の中で見た大きな、愛のリレーに私は胸が熱くなる。
         目には目を。歯には歯を。そうやって戦争が今も続いている。でも、どこかでメグのように負の連鎖を止めれば世界は変わる。
         店には仮設住宅で作った髪留めやシュシュが置いてあり、売り上げは全て作り主に送っている。女の子が背伸びして入れてくれた貴重なお金と一緒に。
         そのことを被災地の作り主に手紙で知らせると、心が元気になりましたと返事が来た。こういう一つ一つの優しさが力となって彼らの明日に向かう一歩につながっていくのだと祈る。
         一人の力は小さく、私に出来ることも限られている。でも、こうしてコラムに書くことで東北を思い出してほしいと願う。
         忘れないで。覚えていて。がれきと一言で言う前に、それは少し前までは家族を守る家の柱だったこと。思い出の物だったこと。時は流れても消えない悲しみはある。あきらめきれない無念もある。それを知ってそれを背負いつつ、彼らは歩き出すしかないのだから。
         「流された物の中で一番つらかったのは母から譲り受けたおひな様でした。娘につなげたかったから」
         電話の向こうからの声に何とか力になりたくて、娘と紙粘土でかわいいおひな様を作り送るつもりだ。思い出のつまったおひな様の代わりにはなれないけれどそうせずにはいられない。家には元気な娘と今年も飾れるおひな様がある。
         今日もすごく寒い。雪国の寒さはこんなものではないはずだ。色んなことが心をめぐる。答えなんてどこにもない。それでも人は生きていく。
        (文・空羽(く・う)ファティマ 切り絵・海扉(かい・と)アラジン)
        | 朝日新聞「うまれてきてくれてありがとう」 | 12:33 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
        朝日新聞連載コラム<生まれてきてくれてありがとう>34
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          2011年1月20日掲載


          『学校に疑問を感じた時』

           子供の担任に言いたいことがあっても言いにくいというママは多い。「だって子供を人質に取られているようなものですもの。うるさい親と思われてシワヨセが子供にいったらと思うと」と。
           アメリカ留学時に自己主張の大切さを痛い思いをして学んだ私ですら、いざママの立場に立ってみるとその気持ちも理解できた。もちろん、安全に関することは言うけど、他のことはなるべくがまんしようか……とか。
           でも、子供は学校と親の双方が手を取り合い育てていくべきだ。
           ある日、直されてきたテストに疑問を持った。「あなたならドングリコマの作り方を友達にどう教えるか?」の問いに、娘N(8)は「用意するものはドングリとようじです。ドングリにはお顔とかかくとかわいいと思います」と答えていたが、採点では、赤ペンで顔をかくというのは不要だと消されていた。
          問題は「教科書にどう書いてあるか?」 ではなく各自の自由な答え方でいいはずなのに、これは変だと私は思った。しょんぼりしているNに「ママなら花丸つけるよ!」とテストに大きく花丸をつけてNの頭をなでた。
           このことを連絡帳に書こうか一瞬悩んだが、表現力について、ここは大事なことだと思った。疑問に感じたことはそのままにせずに堂々と聞くということをNに教えたかったし、大人同士で陰でやり取りするのは良くないと思ったので、Nの前で、ママはこうに先生に書くね、と読み上げながら、連絡帳を書いた。
           次の日の先生からの返事には「Nちゃんの工夫して答えた箇所を消してしまったのは改めて考えると失礼でした。いつも簡潔な答えを書く指導をしているので、つい、うっかりせっかく工夫してNちゃんが書いた文章を消してしまいました。忙しいことを理由にせず、もっと子供たちの内面を見ていこうと思います」と、心あるお返事を書いて頂けてほっとした。
           そしてNに言った。「こんな風に間違いは間違いと言ってくれる先生は立派だとママは思うよ。こうやって勇気を出して聞いてみるものでしょう?」と。
           確かに先生は忙しく一人一人に適した指導は大変だと思うので、ただ、先生を責めるのではなく感謝の言葉もきちんと文章に表し、疑問に思うことはきちんと聞くことによってお互いに信頼関係ができ、子供たちにとってより良い環境が出来ていくのだと思う。
           だからママよ、勇気がいるけどもっと声を上げましょう!あなたの子供の為だから。 黙っているだけでは何も変わらないと思うから。(文・空羽(く・う)ファティマ)

          | 朝日新聞「うまれてきてくれてありがとう」 | 11:40 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
          朝日新聞連載コラム「生まれてきてくれてありがとう」
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             2012年1月6日(金)掲載

             『届かないママへの手紙』


             地獄のような2011年が終わった。干ばつ、竜巻、大地震……世界各地でこれでもかというように、大きな災害が続いた1年だった。

             年が明け、被災地の人たちはどんなお正月を迎えているだろうか。雪国の冬は長くつらい。その中で、お正月という1年で一番華やかで楽しい行事を、人々はどんなにか毎年心待ちにしてきたことだろう。

             けれど、今年のお正月は、去年は共におせちを食べ、おこたつを囲んだ家族がいないのだ。お年玉をくれたお父さんが、おせちを作ってくれたお母さんが、一緒にコマを回したきょうだいが、当然いるはずの家族が、、、そこにはいないのだ。その痛いほどつらい現実に、新年を迎えるきらびやかさとは裏腹によけいにさみしさを感じてしまうと思う。

             私は自作の本をBGMの生演奏で朗読し、東北へのチャリティー活動支援を続けているが、会の後「忘れかけていた震災を思い出すいい会でした」と感想を言う人が多くなったことにショックを受けている。

             まだ1年もたっていないのに、あの大きな悲しみを日々の忙しさの中に忘れることが出来るのか? あの災害は決してひとごとではなかったはずだ。

             放射能の問題は日本だけでなく世界にも広がっている。忘れてはいけないことがある。年が明けたからといって過去のものとはどうかしないでほしいと願う。

             つらすぎることに目をつぶりたいと思う気持ちはわかる。私自身、震災の写真集を手に取れるまでに長い時間がかかった。上手な文章より1枚の写真が雄弁に語る力を持つことはよくある。私の目に飛び込んできた写真は、まさにそれだった。

             帰らぬ母を寒い体育館で待つ4歳の女の子が大好きなママに手紙を書きながら眠ってしまっていた。「ママいきていてね」。やっと覚えたたどたどしい字で書かれたその短い手紙に、私はあふれる涙を抑えきれず本屋でしゃがみこんでしまった。どの写真も悲鳴が聞こえてくるようだった。

             悲しすぎる重い現実。でも同時に東北の人々の強さと誇りも、そこにはあった。どうか本屋で写真集を手にとって欲しい。つらいからこそ逃げずに向かい合ってほしい。これは同じ日本で起きた事実なのだから。今年、私達一人一人がどう生きるかが勝負だ。

             必ず春はやってくる。今は雪に覆われ悲しみに沈む東北にも。。そう信じそう祈り、新しい年を迎えたい。

            (文・空羽(く・う)ファティマ 切り絵・海扉(かい・と)アラジン)


            | 朝日新聞「うまれてきてくれてありがとう」 | 01:39 | comments(1) | trackbacks(0) | - |
            朝日新聞連載コラム「うまれてきてくれてありがとう」30
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              2011年11月25日掲載

              『タコよ〜消えろ〜!』

              娘Nが3歳、幼稚園初体験の日の朝のこと。面接もあるので、遅れるわけにはいかない。9時にNが起きてきた。出かけるまで2時間あるが、超マイペースなので油断はできない!

              まずは朝のおきまりのママ特製プロテインドリンクを飲ませる。食が細いNの健康のため、これは欠かせない。いつもは英語でディズニーアニメを見ながら飲むのだが、この日はなぜかテレビでタコの生態という番組を見つけて「コレにする!」と飲み始めた。

              タコの吸盤は○キロの重さの物を持ち上げられるとか、吸盤でものの味が分かるとか....。はじめは「It's interesting, isn't it?(面白いね)」とか余裕で話しかけていた私も、20分たっても0.001ミリくらいのペースで飲んでいるのを発見し、「Hurry(急げ)!」とせかした。
              いつもの何倍も遅い!
              だんだんむかついてくる私。もう40分もたっているし!このままじゃ空腹のまま出かけることになる。
              「食事中は怒るな」というパパの意見に、確かにそうだと思いつつどんどんイライラはつのる。

              ついにガマンの限界に来た私は叫んだ。「魔法でタコ消すよ!!」。そして「タコよ〜消えろ〜!」と指をぴろぴろ動かして、あやしい呪文を唱え始めた。

              タコを消されまいと私の手を必死に押さえつけるN。でもやめない私。きっと外から見たらお笑い劇だろうが、本人は真剣だ。子供が食事しないことは、母にとって何より心配になる。

              そんな私を見て、パパは「無理に飲ませても....」と冷静に言う。自分は前の日に、Nがバナナクレープを食べると言った友達のSに「自分と同じ焼きそばクレープにしてよお!」としつこく説得しているのを見て、「それは、愛情の押しつけだろ!?いやだなーそういうオンナって。男を自分の言いなりにしてダダこねるんだぜ、そのうち....」なんて言ってたくせに。

              まあ、お互い冷静に相手のことは見られて良しとしよう。これで2人で熱くなって「そうよね!Nはきっと悪女になるわ!どうしよう!?」とか悩んでる私だったら大変だもの。どっちにしろ、我が子のことだとついシリアスになるバカな親には間違いないが.......。
              オハズカシイ......。

              (文と絵:空羽ファティマ)

              | 朝日新聞「うまれてきてくれてありがとう」 | 12:35 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
              朝日新聞連載コラム<生まれてきてくれてありがとう>29
              0
                 地球人
                2011年11月11日掲載文 

                 『地球人として生きよう』  

                 人生がこんなにも美しく楽しいのは、明日はいつも新しい真っ白な日が来るからだ。これから先の未来が、何が起こるか分からない、驚きと希望に満ちあふれているからだ。
                 人はいくつになっても好奇心を失ったら生きていくことを楽しめなくなってしまうと思う。安全と予想の出来る未来を求めていたらそこに新鮮な驚きはないからだ(もっとも、確実な未来なんてないことを今回の津波で私たちはいやと言うほど思い知ったのだが、、、)
                 私はアメリカ留学の後に回った世界の国々での経験から多くのことを学んだ。けれど最近は海外留学する若者がかなり減り、海外赴任も行きたがらない人が増えたという。
                 日本は小さな島国だ。同じ色の目と髪と肌を持ち海を渡らなければ異なる文化との交流が持てない閉ざされた狭い環境にある。世界は広い。今まで日本でだけ生きてきた人間は海外に出ると少なからず目からウロコのような経験を持つ。それがどんなに大切か……。
                 白と黒だけの世界を良しとする美学を貫くことにエネルギーを使ってきた20代の私に、海外での旅は固い“こうであるべき”というちっぽけな信念をあっという間にたたき割ってくれた。私は驚き抵抗しながら今まで自分が必死に守ってきた壁が崩れ落ちていく姿をみつめたものだった。発展途上国と呼ばれる国ほどその一撃は強かった。
                 私は、あわてふためき困ったり泣いたり悩んだりしながら、その初めて会った考え方や生活環境に向かい合うしかなかった。そして世界には色んな国があり色んな人がいて色んな考え方があるのだと肌で感じたのだ。 便利で楽な生活に慣れた日本だからこそ、その違いや不自由さを味わうチャレンジ精神が必要だと思う。机の上の勉強や保証された安全な毎日の中では学べない生きた勉強がそこには待っている。
                 切符1枚買うのに、てんてこまいしたり、安ホテルを探して一日歩き回り値段交渉したりするのもいい経験になるだろう。言葉の通じないルームメイトとのやりとりや、初めて書いた親へのまじめな手紙とか。みんな日本にいたら味わえないことばかりだ。 
                さあ日本を出よう!そして離れてこそ知る日本の良さも知ってほしい。日本人の枠を越え地球人として生きてみて欲しい。
                 (文・空羽(く・う)ファティマ 切り絵・海扉(かい・と)アラジン)
                | 朝日新聞「うまれてきてくれてありがとう」 | 15:59 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
                朝日新聞連載コラム「生まれてきてくれてありがとう」
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                   母と子


                  2011年10月28日掲載  『あなたは一人じゃない』 どう子供と接していいか分からないと悩むママは多い。きっと子供番組の高いテンションで、元気ハツラツでニコニコと子供と遊ぶお姉さんのような人を理想と考えている故だと思う。
                  でも、私も別に子供が好きってわけじゃなかった。41歳まで子供を産む決心がつかなかったのも、一人気ままに海外を旅し自由に生きてきた今までの生活をやめたくなかったからだ。
                  今、そんな私が子育て支援活動なんてしてるのが照れくさかったりするけど、本気で自分の分身である一人の命に向かい合ってみるといろいろ学ぶことがある。私は娘と小さな子供というより、対等な人間同士として接したいと思い、赤ちゃん言葉は使ったことはない。
                  たぶん、多くの人はいきなり自分のキャラを子供用に変えようとするから無理が出るのだ。そのままのあなたであなた流のやり方で、生まれてきた子と奇跡の出会いを単純に楽しめればいいのだと思う。育児書も読む必要ないし、周りのこうするべきだというアドバイスも聞きたくなければ聞かなくていいと思う。
                  人は皆違う。あなたをママと呼びたくて天から舞い降りたその命は、生まれるずっと前からあなたのことが大好きなのだ。あなたを選んでやってきたのだ。それだけで十分でしょ?
                  あなたはあなたのままでいいのだ。他の誰かをまねる必要も比べることもない。 自分のダメなところばかり数えていると心に余裕がなくなって、追い込まれると人は――特に育児で疲れ切ってるママは自分でも信じられないことをしてしまったりする。
                  それが虐待と呼ばれていることだ。でも虐待は心の冷たい特別な人だけがしてしまうわけではないと、自分が子育てしてみてつくづく知った。あんな痛い思いをして産んだ我が子を本当は誰だって大切に育てたいと思っているはずだ。愛したいのに愛せない悲しみはママとしてどんなにつらいだろう。夫が協力的でなく周りに頼れる人がいなかったら、誰でも心のバランスを崩す危険はある。
                  だから、そういう自分を発見したら罪悪感を持つよりまず誰かにSOSを求めて欲しい。自分を責めても何にもならず、かえってストレスが増えることを知って欲しい。大丈夫、あなたは一人じゃない。あなたは十分がんばっている。
                  (文・空羽(く・う)ファティマ 切り絵・海扉(かい・と)アラジン)
                  | 朝日新聞「うまれてきてくれてありがとう」 | 00:02 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
                  朝日新聞連載コラム<生まれてきてくれてありがとう>26
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                     2011年9月30日掲載
                    あふりかの母

                     『あきらめず投げ出さず』

                    やせ細った折れそうな手足、ぼうっと空を見上げる力ない目のアフリカの子供たちがテレビに映る。記録的な干ばつによる食糧不足……。数万人が餓死……。どうしよう、と私は立ちつくした。
                    子供を腕の中で亡くし半狂乱になって泣く母親の姿を前に、同じ母として胸がしめつけられる。
                    独身の頃の私にとって“世界平和”という言葉は遠くの理想に思えていた。でも今、ママになった私は真剣にそれを心から願う。地球上の全ての子供たちが笑っておなかいっぱいに安全なものを食べられて暮らせることを祈らずにいられない。
                    そしてきのう読んだ記事を思い出す。乳児を持つママが放射性物質が食べ物に入っていることについてどう思うかを聞かれ「心配してもきりがないので気にしない」と答えていた。
                    確かに心配しすぎたら何も食べられないし子育てに忙しくて、気にしていられないというママの気持ちも分かる。でも子供は大人の何倍もその影響を受けるリスクがある。
                    気にしない、と言い切るのでなくて、せめて少しでも安全な食べ物をと心がけたり世間に対して原発についての意見を言ったりするべきではないだろうか。大切なことだし自分なりにしっかりと向かい合い考えるべきではないのだろうか。
                    簡単に何とかならないことは世の中にたくさんあるけれど、それでも守るべき者がある立場にいる親ならなおのこと、そこで目を伏せずに直視する姿勢こそが、今必要とされているのではないかと思う。
                    ムダでもまず、もがこうではないか。我が子がおなかをすかし冷たくなっていく、その体をただ抱きしめて見送ることしか出来なかったアフリカのお母さんの無念を思うと、自分に出来ることを小さくても見つけて何か行動したいと思う。せめてそれに心をつくして祈ることだけでも。
                    私たちはいつか必ず皆、死ぬ。それでも食べて働いて泣いたり笑ったりして生きている。
                    ほとんどがムダなことなのかもしれない。大きな歴史からみたら私たちは、取るに足らない小さな存在かもしれない。でも、それでも生きてるうちは上を向き、少しでも良い世界になるようにあきらめず投げ出さず一日一日を過ごしていきたいと思うのです。

                    (文・空羽(く・う)ファティマ 切り絵・海扉(かい・と)アラジン)

                    | 朝日新聞「うまれてきてくれてありがとう」 | 11:52 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
                    朝日新聞連載コラム「生まれてきてくれてありがとう」25
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                      『笑える力が子育ての力』

                      事件は火曜のゴミ捨ての日に起きた。
                      何度言っても片づけない娘N(8)が、段ボールで作った大きな自動販売機をパパが無断で捨てたと知り、それはそれは怒りまくり泣いた。毎日夕食もお風呂も一緒にきょうだい同様に過ごしている友達のSと作ったものである。
                      「一生懸命作ったのにー! 百回ゴメンネ言ってよー! 自動販売機返してよー!」とパパの足にセミのように2人はしがみつき、1階にある仕事場の床屋に逃げようとするパパを離さなかった。
                      「ちゃんと片づけないのが悪いんだろ!?」。パパも負けずに怒った。
                      「確かにそうだけど、大人にとっていらない物でも子供にしたら宝物だし無断で捨てたのは悪いよ」と私は子供たちの味方をした。
                      彼は1年間着なかった服は手放すと決めていて、シンプルに物のない生活をしたい人なのだ。
                      私もあの津波が起きてからは物を減らすよう心がけるようになったが、子供がいると散らかるのはある程度仕方ないし、娘が着られなくなった服もそこに刺繍(し・しゅう)をしたり思い出があったりするものはなかなか手放せない。2人が夢中で作った工作に愛着を持つ気持ちは理解できた。消しゴムのカケラも、どんぐりの帽子も子供にとっては大切な宝物と思えることも。
                      Nがなんてことないフツーの丸い平らな石を「天使が座った石ママにあげる」とくれると、途端に大事な物になり捨てられない。
                      さて、パパは足にしがみついている2匹のしつこいセミから何とか逃れようと、ついに最後の手段でジーパンを脱ぎ捨てた。
                      が、今度はハイエナと化した2人は奇声とおたけびをあげながら、あわれなパンツ姿のパパに再び襲いかかったのであった。
                      もはや逃げる気力も怒る元気も失った父はパンツのまま床屋をやるわけにもいかないと、ついに観念して謝り、Nがパパのほっぺにチューをし仲直り。2人の要求通り、新たな段ボールをゲットするために近くのスーパーに3人で出かけていった。
                      その後、今までは騒音オバサンと呼ばれていたうるさいNは、ゴミ捨ての度に「これは捨てないで! それもダメ!」とパパの捨てたゴミをチェックする口うるさい「ゴミチェックオバサン」の名も付け加えられたのであった。
                      子供の起こす一つ一つの事件をシリアスにならずいかに笑い話に出来るかが、子育てのストレスを左右するものです。ハイ……。

                      (文・空羽(く・う)ファティマ)

                      *絵はナイル自身がかいた、パパの足にしがみつく2人のセミの絵
                      2011年9月16日掲載記事
                      | 朝日新聞「うまれてきてくれてありがとう」 | 14:09 | comments(0) | trackbacks(0) | - |