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空羽ファティマからメッセージ
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朝日新聞連載コラム<生まれてきてくれてありがとう>44
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    2012年6月22年掲載

    『避けられる試練ならば』


     試練から逃げず、立ち向かうことが人生では大切だ――。きっとそれは正しい。でも人は、いつもそうできるほど強くはない。
     立ち向かう元気がある時は、それが大きな自信や良い経験になる。でも、生きていれば、どうしても避けられない試練は来る。だから、避けられる試練なら時に避けてもいい。すべて受けて立ってきてみて、私はそう思うようになった。
     逃げることは弱さだと信じていた。苦しくても泣きながらでも、立ち向かうべきだと。でも今、振り返ると、あんなにシャカリキにならなくても良かったと思う。そこで、私は何を得て、何を失ったのだろう?
     自信は確かに得た。でも強がりの甘え下手になった。人生にモシはないから、あれはあれで良かったのだろう。けれど、娘がかつての私のような生き方をしたら、「もう少し肩の力を抜いても大丈夫だよ」と言ってあげたい。「すべてに直球で勝負する必要はないよ」って。
     10代のころ、いきなり友人たちが私と口をきいてくれなくなったことがある。理由を聞いても、何も答えない。「負けるものか」と思った。私は悪いことはしていない。堂々としていようと。涙を見せまいと、一人トイレで泣いた。
     独りぼっちでも平気なふりをした、地獄のような休み時間。マンガの字が涙でぼやけた。でも、先生にも親にも言わなかった。「大人に注意されて仲直りしても仕方ない」と思った。
     あの時の私は強かった。無視されただけだったが、人はこわいと知った。へこまない私につまらなくなったのか、3週間ほどたつと、みんなが何もなかったように普通に接してきた。私も何もなかったように受け入れた。理由だけ聞くと、「あなただけ一度も仲間はずれにされたことがなかったから、味わってほしかった」と言われた。
     その時の傷は、30年以上たった今も心の奥にある。あれでよかったのか、泣いて「つらい」と言った方がよかったのかは、今もわからない。ただ、あの時の私にはああするしかなかったし、それで必死だった。
     今、人が好きと言えることに私は救われている。生きていくだけで大変だ。娘には「全部1人で抱えこまなくていいよ」と言いたい。何もできないかもしれないけど、一緒に泣いてあげることはできるから。
    (文・空羽(く・う)ファティマ切り絵・海扉(かい・と)アラジン)

    | 朝日新聞「うまれてきてくれてありがとう」 | 12:43 | comments(0) | trackbacks(0) | - |









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